Windows 10は、2015年7月にリリースされたが、今期の需要喚起に関しては限定的なものになり、2015年第3四半期の国内クライアントPC市場は、前期(2015年4月~6月)に引き続き、出荷台数が大きく落ち込んだ。
Windows XPのサービスサポート終了による特需や、消費税増税前の駆け込み需要があった2014年の第1四半期(1月~3月)以降、ビジネス市場、家庭市場供に、需要が戻る気配がない。家庭市場の出荷台数が100万台を下回るのは、過去の集計からみると、1998年まで遡ることになる。
ベンダー上位5社の出荷台数は、Windows XPのサービスサポート終了による特需と消費税増税前の駆け込み需要の反動で大きく落ち込んだ2014年第3四半期からさらに、2割減となる大きなマイナス幅になった。
その中では、NECレノボ グループは、前期より4.7ポイントシェアを伸ばし1位を維持した。 NECレノボグループは、ビジネス市場で前年同期比比26.2%減、家庭市場では同比12.8%減となり、全体では21.1%減となった。
富士通は、利益重視の戦略から、ビジネス市場で同比26.9%減、家庭市場では同比7.0%減となり、全体では 22.6%減であった。東芝は、ビジネス市場で同比28.0%減、家庭市場では同比15.8%減となり、全体では23.1%減となった。
HPは、ビジネス市場で同比8.1%増と他のベンダーがマイナス成長の中、プラス成長を達成し、家庭市場では同比34.3%減となったが、全体では、他のベンダーと比べてマイナス幅が小さい0.4%減となった。Dellは、ビジネス市場では、中堅中小企業の不調が響き、同比31.9%減、家庭市場では同比23.9%減となり、全体では30.3%減だった。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション リサーチマネジャーの片山雅弘氏は、「Windows 10がリリース されたが、残念ながらPCの需要喚起には、つながらなかった。円安の影響でPCの単価も高止まり、買い替えを促す材料が乏しい。さらに、ハードディスクからSSDに変わる製品が増え、故障しにくくなったこともボディーブローのように効いている。このことによりPCの寿命が延び、買い替えを延ばす要因になっている。もし、この状態が常態化するならば、今後大幅な下方修正が必要になる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行する「国内PC市場 2015年第3四半期の分析と2015年~2019年の予測」にまとめられている。